写真共有アプリ「インスタグラム」を使って、おいしくて見栄えがする料理の写真を投稿することにハマっている。
高校まで地元の埼玉で完結していた私の行動範囲は、東京の大学に入学して一気に広がった。いわゆるお上りさんというべきか、建ち並ぶ高層ビルを見上げ、首を痛めながら東京中を歩き回った。
洗練されたレストランにも関心を持つようになった。きっかけは高級感漂う代官山のメキシコ料理店。この街で暮らす兄から薦められ、友人と2人で昨春、恐る恐る足を運んだ。出てきた料理はどれも絶品で、異国感あふれる雰囲気と、テラスから一望できた東京タワーがひときわ脳裏に焼き付いている。
この感動を誰かに伝えたい。そんな思いからおしゃれなカフェや味で評判のレストランを巡り、写真に収め、インスタで投稿するようになった。初めはスマホだったが、料理や店の雰囲気をより鮮明に届けるため、大奮発して高いカメラを購入した。
小学生の頃から私は、映画やゲームで覚えた感動を自分だけのものにしておけず、友人に説いて回る人間であった。投稿に対して多くの「いいね」を送られると感動を分かち合えた気がして、投稿意欲はさらに高まった。
感動を気軽に発信できる時代だからこそ、これを利用しない手はない。ネガティブな情報に目を奪われがちだが、いっときでも心が和むようなポジティブな情報を投稿することで、見てくれた人の心に少しでも明かりがともればと思っている。【国士舘大・太田響】