まえがきに代えて

編集部から

3月1日に、2018年3月卒業予定者を対象にした、就職活動が解禁され、リクルートスーツの学生の姿が目立つようになった。
正確に言うと、経団連(主要企業1340社、製造業やサービス業等主要業種別全国団体109団体、地方別経済団体47団体などで構成)会員企業を対象に、「採用選考に関する指針」で「3月1日企業の広報活動の解禁、6月1日選考活動の解禁」としている。
非会員企業はこの指針を守る必要がないため、外資系やIT企業などでは、3月以前に「内々定」「内定」が出しているという話はよく聞く。だが、経団連が昨年11月に公表した「2016年度新卒採用に関するアンケート」では、約9割の会員企業が、指針が「ほとんど守られていない」「あまり守られていない」と感じていると答えている。実際、インターンシップという名で、3月以前に選考を行われているのは、就活生の間では暗黙の了解である。

キャンパる編集部は、2013年に「親も必見 間違いだらけの就活」https://www.facebook.com/campalshukatsubook/を出版した。就活生やその保護者の就活に関する疑問に、現役就活生や就活生OBにキャンパるの学生記者が取材・執筆するという画期的な就活本である。就職情報サービス産業によってビジネス化する就職情報に踊らされないよう、真に就活生に向けた就活情報ガイドとして、就活生のみならず親世代からも大きな好評を得た。2015年からは、毎日新聞の公式サイト「デジタル毎日」の有料サイト「経済プレミアム」で、その続編となる「親も知らない、就活日記2015」「  〃  2016」を掲載した。

「編集長の『就活学』~間違いだらけの就活2018~」は、「キャンパる☆チャンネる」サイトの開設にともない、これまでの就活取材で培ったノウハウを駆使し、最新情報を盛り込んで、新たに書き起こしたものである。就活は、年月で変わらない「普遍的」なものと、その時の経済事情なので変化する「流動的」なものが混在している。「就活学」は、この普遍的なものを重点に、学術的に分析し、就活生に向けて提案する新しい学問として確立し、その就活学を学んだ就活生の役に立ってもらおうという、野心的試みである。
「就活学」は、「間違いだらけの就活」から通底している、「就活はビジネスではない。学問そのものである」という考えから、今後も研究する。広告代理店業務が主たる就活情報産業は、企業の悪口が言えない。就活日程をフライングする企業の真実も言えない。企業に採用をお願いする立場の大学(キャリアセンター)も本音を言えない。「就活学」は、こうした、あらゆるステークホルダー(利害関係者)におもねない真実の就活を学究的にジャーナリステック的に分析する。故に、「就活学」は、真に学生・就活生のためのものであり、ノウハウや技術ではなく、就活の根本を問う。

      キャンパる編集長
内山 勢

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