きょう28日は「データプライバシーの日」。最近、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によるトラブルがニュースになっている。SNSを利用する大学生・大学院生100人を対象に、「SNSプライバシー事情」に関するアンケートを実施した。
まず、どのSNSを利用しているか聞いた(複数回答、以下同じ)。利用者が一番多かったのは写真共有アプリ「インスタグラム」で、使用率は約8割。以下、ツイッターが約7割、フェイスブックが約2割と続く。
利用目的は「気になったお店を知る」(昭和女子大1年女)、「知っている人同士で今何をしているか(を見る)」(千葉大2年女)と、インスタグラムやツイッターは情報検索や友人と経験を共有する目的で使用しているようだ。一方、フェイスブックは「社会活動に携わる方々とコミュニケーションを取るため」(大阪市立大大学院1年男)と公に発信する目的で使用する人が多かった。
では、学生たちはSNSにどれくらいの個人情報を公開しているのか。約7割が「自分の名前」。大学や所属団体、自分の顔写真を公開している人も4割を超えた。理由は「友人を見つけやすくなるから」が約半数を占めた。
公に実名や顔写真を発信することはリスクを伴う可能性がある。「バイト先の飲食店の常連客に個人サイトを知られた」と答えたのは帝京大1年の女子。ツイッターのプロフィルに名前、顔写真、所属しているサークル名を表記したところ、バイト先の客に「遊びに行こう」とメッセージで誘われたという。「名前を知られているので特定された。私生活に干渉された気分がして怖かった」と当時の経験を振り返る。彼女は現在その個人情報を消去しているという。
また、自分の情報が勝手に公開されたケースも。「就活仲介業者に就活中の様子を勝手にアップされた」(東京工業大大学院1年女)、「匿名で運用しているアカウント(サイト)の返信欄に本名を書かれた」(一橋大4年女)など、他者に流出させられたとの回答が多かった。
それでは、プライバシーを守りながら、SNSと付き合うにはどうしたらいいのか。湘南工科大3年の男子は「複数の仮名で登録してカムフラージュしている」と答えた。また、SNSでは、不特定多数ではなく公開範囲を絞ることも可能だ。「一般に公開していいものと、知り合い限定に使い分けを徹底している」(一橋大4年女)とのアドバイスは参考にしてほしい。
記者も高校時代、文化祭の集合写真をSNSに公開し「勝手にアップされた」と仲間とトラブルになった。「不用意に個人情報をさらすべきではない」(日本大4年男)との指摘に返す言葉もない。安心して利用できるネット空間をつくるためには、それぞれがプライバシーを意識しながらSNSを上手に利用する観点が欠かせない。【国学院大・原諒馬、写真は東洋大・佐藤太一】