私は中央大学に在学中だが、現在、交換留学制度を利用してクロアチアのザグレブ大学で9月から来年1月までの予定で留学生活を送っている。実は、留学は今回が2度目である。韓国にも1年間留学した経験がある。2度も留学を経験する学生は決して多くないだろう。それでも再び海外へ渡ろうと決意したのは、自分の世界をさらに広げたいという思いからだった。
留学先にクロアチアを選ぶ決め手となったのは、同国の学生に対する手厚い経済的支援である。学生によって程度はさまざまだが、学費の多くが国によって負担されている。大学はほとんどが国立で、学部ごとに建物が独立し、落ち着いた環境で勉学に集中できるメリットも大きい。
首都・ザグレブで暮らし始めて驚いたのは、学費以外の生活面でも支援が充実していることだった。例えば、学生食堂は政府の補助によって大変安い価格で利用できる。通常5~6ユーロ(1000円前後)かかる食事が、わずか1~2ユーロ(200~300円前後)で提供されるのだ。こうした優遇措置はクロアチア人学生だけでなく、Erasmus+(エラスムス・プラス)に参加する留学生にも適用されている。
Erasmus+とは、欧州連合(EU)が運営する教育・研修・若者・スポーツ支援プログラムで、EU加盟国の学生が互いに留学や研修を行う仕組みだ。日本はEU非加盟だが、パートナー国として同プログラムに参加しており、多くの留学生がこの制度を利用して学んでいる。同プログラムには奨学金制度もあり、経済的負担を抑えながら学ぶことができる。
さらに寮費も非常に安価である。国際留学生向けの最も高い寮でも、月125ユーロ(約2万2000円)ほど。より安価な選択肢もあり、学生にとっては負担の少ない環境が整っている。
また、学生たちの語学力の高さにも驚かされた。公用語はクロアチア語だが、多くの学生が流暢(りゅうちょう)に英語を話し、中にはイタリア語やフランス語、日本語を操る者もいる。その理由を尋ねると、「クロアチア語だけでは世界が狭すぎるから」と答える学生が多かった。人口約400万人の小国では、学術資料やエンターテインメントなどのコンテンツが限られる。そのため、自然と外国語に親しむ文化が根付いているのだ。
現地の学生も、留学生に対しておおむね好意的だ。実際、アジアからの来訪者が多くないクロアチアの人々、特に若者にとっては、私のようなアジアからの留学生と交流する機会は貴重だと感じる人が多いのかもしれない。
正直、日本の大学に通う身としては、クロアチアの学びの環境はどれも魅力的に映る。経済的な理由で学びの道が閉ざされる心配がほとんどないという点は、特に印象的だ。こうした手厚い支援を目の当たりにすると、日本の高等教育にも、より一層学生を支える仕組みが求められるのではないかと感じずにはいられない。【ザグレブで朴泰佑】(この記事は不定期連載です)

