8月にカメラを買った。命がけで報道写真を残した記者を描いた映画に刺激され、1年前からほしかったものだ。親元を離れた1人暮らしの身ではなかなか手が出なかったが、約11万円の中古入門機を手に入れた。技術も知識もあったものではないが、今は、旅行先や合宿先、朝の散歩道にもカメラを持ち出しては、シャッターを切り続けている。
中学生の頃、親が買い与えてくれた近現代史の本には、セピア色の写真が並んでいた。文字だけでは決して伝わらないその時代の様子がありありと伝わる。私は写真から当時の人々の気持ちを想像することに夢中になった。
写真には物語る力がある。スペイン内戦で、一人の兵士が倒れる瞬間をロバート・キャパが捉えたとされる「崩れ落ちる兵士」や、飢えてうずくまる子どもと、その子どもを狙うハゲワシを写したケビン・カーターの「ハゲワシと少女」のような写真は、背後の物語を考えさせる余韻がある。私は、自分の想像力をかきたててくれるその余韻が大好きだ。
自分の写真アルバムにはサークルメンバーの笑顔だったり、お祭りの風景だったりとなんでもない日常の風景が並ぶ。いつかは偉大な報道写真家に比肩する、歴史的に価値のある瞬間を捉えたいという野望はある。だが、時間がたって見返した時に、その日の記憶が鮮やかによみがえるような、日常の一枚も着実に残したい。思わず想像力を働かせてしまうような一枚を求めて、今日もカメラとともに出かける。【東京都立大・小野将京】
