写Now 取り戻したいもの ピアノでつながる

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 コロナ禍で希薄化した、キャンパス内での人と人とのつながりを取り戻したい。そんな願いを込めた、誰もが参加可能なピアノ演奏イベントが、早稲田大学の「キャンパスピアノ」だ。

 昨年12月21日、同大国際文学館(村上春樹ライブラリー)で行われた3回目の同イベントには、早大生や職員、一般の25人が演奏者として参加。連弾やクリスマスソングなどを、約170人の来場者が楽しんだ。運営スタッフである政治経済学部3年の貝原夢美さん(21)は「演奏者だけではなく、すべての来場者に楽しんでもらえるような空間づくりを目指した」と話す。

 このイベントは、同大政治経済学術院が2021年9月に開催した「つながる」イベント企画コンペで、最優秀賞を得た学生の企画を同学術院主催で実現させたもの。使われたピアノは、同大OBの小説家・村上春樹氏が経営していたジャズ喫茶で使用されていたグランドピアノだ。

 貝原さんはオンライン授業中心の大学生活を送る中、コロナ禍でもつながりを得られる空間をつくりたいという発案者(現・卒業生)の思いに共感し、関わり始めたという。演奏してイベント開催の趣旨に共感し、運営に関わった後輩もいる。「対面で交流する機会を失っていた学生にとって、この活動がつながりを取り戻すきっかけになっていると感じた瞬間だった」と貝原さんは話す。

 今後も開催するかどうかは検討中だが、参加者からは、次回の開催を望む声が多く寄せられているという。23年度が大学生活最終年度となる貝原さんは「キャンパスピアノを今後も開催し、後輩へとつないでいきたい」と話した。【大正大・山口結衣】

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