読見しました 交換日記

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 部屋掃除の最中に懐かしいものを見つけた。小学生の頃、一番の仲良しだった友達と3年間続けた交換日記だ。好きな男子の話から将来の夢まで、あけすけにつづるページをめくる度、胸がくすぐったくなる。

 読み進めると、ふと面白いことに気づく。2人とも最終文が同じなのだ。「またね、〇〇ちゃん大好き」。そう記すのが暗黙の約束だったのかもしれない。クラス替えで離ればなれになっても親友だから、という暗示だったのかもしれない。いずれにせよ、素直でまっすぐな気持ちを包み隠さず相手に伝えること。昔はできていたのにどうして今はできないんだろうと思わずにはいられなかった。

 「中学生になっても友達だよ」。私の下手くそな字で、そう書かれて日記は終わっていた。小6の3月のことだ。別々の中学に行き、道は分かれた。大学に入って1度だけ再会したことはある。彼女の昔ながらの仕草を目にした時はうれしかった。ただ、以前に比べお互いのことを理解できず、会話はすれ違いのまま終わった。

 時計の針は元に戻せない。でも、目に映るもの全てが新鮮だったあの頃、初めてできた親友との思い出の数々は色あせていない。もしまた会うことができるのなら、その時はこの日記を持っていこう。止まっていた時間を再び動かすために。【早稲田大・榎本紗凡、イラストも】

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