読見しました 小さい時のクセ

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私は小さい時にあるクセがあった。それは欲しくて買ってもらったものなのに、いざ手に入るともったいなくて使えないということだ。小学生の時、好きだったキャラクターの鉛筆を3本買ってもらったことがある。だが、その時は大切に思うあまり、とても削って使うことができなかった。

 先日、机の引き出しを整理していたら、奥からその3本が出てきた。大学生になって、シャーペンすらあまり使わなくなったのに、今さら鉛筆……。さらに棚を整理すると、新品のシール、メモ帳などがうじゃうじゃ出てきた。鉛筆と同じく、買ってもらって私がきれいにとっておいたもの。小学生の知り合いがいたら、喜んであげられる。

 どうしてあの時、使わなかったのだろう。せっかく買ってもらったんだから使えば良かったのに。使って手元から消えてしまうのが嫌だ、という気持ちは覚えているが、今は当時の自分の考えが理解できない。

 そんなことを考えながら、大きな箱にかつての宝物たちを集める。中には使いかけのシールやメモもあって、これは取っておく優先順位が低かったのかな、と思いをはせた。恐らく、箱にしまったら取り出そうとはしなくなる。捨ててもいいけど、使えず大事にとっていた幼い日の自分の気持ちを思うと、なんだかそうもできなかった。【日本女子大・鈴木彩恵子、イラストは早稲田大・吉村千華】

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