私が受講した理科教育の講義で教授が放った言葉。「『理科が好きだという女子生徒は少ない』という現状を、あなたならどうしますか」。私は心の中で「生まれつき理科が嫌いな子は、何をしても好きにならないのに」と反論しながら、その場をしのいだ。
時がたち、ネットで「イスラム圏にリケジョが多い理由」という記事を見つけた。理系専攻である私にとっては興味深かった。中でも工学専攻の学生のうち女性が半数近くの国があることには驚いた。不安定な情勢の中で安定した職を得るため努力した結果だそうだ。最後には、「好き嫌いは生まれつきだという思い込みを捨てなさい」と。
工学専攻の女性比率が1割程度の日本との違いを改めて思い知らされ、そしてハッと、気づく。無意識のうちに私自身も「生まれつき」という言い訳を使って幾度となく、嫌いなものを避けてきたじゃないか。
「物理を理解できないのは生まれつき」などと言って逃げたことは後悔している。でもこれからは真剣に向き合って挑戦できたらいいんじゃないかな。
ちょうど私の頭をよぎったのは、後回しにしていたその物理のリポート。生まれつき物理ができない人なんていないでしょう? よし、やってやろうじゃないか!【千葉大・谷口明香里、イラストも】