すたこら:素直になったら?

 「好きな有名人は誰?」。そう聞かれると、「うーん。特にいないかな……」と微妙な返しをしてしまう。「どんな音楽をよく聴くの?」と聞かれるのも苦手。こういう質問をされると決まってこう答える。「はやりの曲をまんべんなく聴くかな」

 会話の広がりなんて完全無視のつまらない返答。だが本当はこう答えたい。「アニメが好きでね、声優さんのイベントやライブにもよく行くの。最近ハマってるのはこのキャラクターソング」。自分の好きなものを隠したくない気持ちもある。でも、「オタク気持ち悪い」と思われるほうが何倍も怖い。気にせずに仲良くしてくれている友人ばかりだが、なんとなく、いつも心の奥でそう思っている。

 なぜ「オタク気持ち悪い」と思われる、と勝手に解釈してしまうのか。それはたぶん、「オタク」な自分に対して自分が一番コンプレックスを持っているから。現実で恋人も作らず画面の向こうのイケメンに恋をし、脳内デートなんかも開催して。週末は毎週のように推し声優に会うためイベントに参加。とても楽しいけれど、「現実を見ていないやつ」と思われるのが怖い。

 前に一度、この趣味はもうやめよう、と思った時がある。だが何をしても味気なかった。応援する気持ちも好きになったトキメキも、全部私が現実に感じたことだ。恋する女の子と同じように、キャラクターからもらった一言一言が私にとっての宝物。だからここで宣言したい。アニメオタクで何が悪い!【学習院女子大・田中美有】

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