「大学生は人生の夏休み」とはよくいったものだ。甘い言葉の陰に潜むプレッシャーを大学生になって知った。憧れのキャンパスライフ。全てが手に入る楽園だと思い込んでいた。その生活をつかんではや2年、言葉にしがたい不安にさいなまれている。
「最近、何しているの?」。サークルにも所属せずバイトと学校と遊びの日々を繰り返す私の生活を集約すると、「大したことしてない」だった。声に出してみるとなんとも貧相な気持ちになる。友だちからの何気ない質問はいつしか怖いものになっていった。
人生の夏休みらしく楽しめているのか。4年間の自由な時間を使って何かを成し遂げられるのか。私の大学生活に対するジャッジの時間に感じるからだ。
確固たる自我も自信もなく、日々のだらだらとした生活に反省ばかりがつのる。武器も持たず裸で突っ立っている感覚だった。私の好きなことって? 何がしたいの? いくつもの「?」が頭を駆け巡った。
「人生の夏休み」とはキラキラした生活を過ごすことだけを指すのだろうか。このような悩みを持ちながら自分と向き合う期間なのではないか。
「若いときってどこか楽しむことに必死じゃないですか」。テレビの中の誰かが言っていたのを思い出す。私もそんなふうに懐かしく思える日がくるのだろうか。この気持ちをかわいく思えるようになるまで、今は人生の夏休みを謳歌(おうか)したい。【法政大・平林花】