読見しました。:曽祖父と私
お盆に茨城の祖父母宅に遊びに行った時のこと。キャンパるの話をする中で8月に掲載されていた「戦争を考える」取材班特集の話題になった。
「そうだ、見せたいものがある」といきなり席を立った祖父。持ってきたのは「奉公袋」と書かれた小さな袋だった。黄土色で一見ボロボロのただの巾着袋。なんとこれは祖父の父が戦時中に軍隊で使っていたものだそうだ。袋の中には、軍隊手帳や手投げ弾の取扱書、「海軍二等兵教科書」と書かれた本などがそのままの状態で残されていた。
筆跡やシミが生々しく、今まで話に聞いていた曽祖父の存在をぐっと身近に感じる。「先祖の方たちがいたから今のお前がいるんだよ」。収容品をひとつひとつ説明しながら祖父はしみじみと語ってくれた。
もし自分がその時代に学生だったら、どんな日常を生きていたのだろうか。この奉公袋を持ち、手投げ弾を手に戦場にいたかもしれない。想像するだけで恐ろしい。
今回の帰省を通じて曽祖父のことを少し知ることができた気がする。平和な毎日に感謝し、自分の世代まで命をつないでくれた家族たちに思いをはせていきたい。【成城大・風間健、イラストは昭和女子大・小林千尋】