東京五輪ボランティア 応募低調、期待と不安
来年7月から東京五輪・パラリンピックが開催される。大会を支える重要な役割を担うのが大会ボランティアだ。その主力と期待されている大学生は、どのように考えているのか。57人にアンケートをとった。(かっこ内の丸数字は学年)
まず、大会のボランティアに応募をしたか聞いた。「応募した」と回答したのは、わずか2人にとどまった。2人からは「またとない貴重な機会だから」(早稲田(2)女)、「オリンピックの裏側をのぞいてみたい」(東京(2)男)と普段できない経験を求める意見が上がった。希望した内容についてはそれぞれ「会場係。臨場感を味わいたい」「アテンド。得意の外国語をいかしたい」という思いが寄せられた。
一方応募しなかった人は「特別魅力を感じないから」(信州(1)男)という意見や、「興味はあったが(開催期間中)時間がとれるかわからない」(法政(3)女)のように、1年後の予定がわからず応募を見送った人もいる。記者も開催期間が就職活動と重なるため、参加を諦めた。めったにないチャンスに関われないのは惜しい。
ボランティアの応募には、大会組織委員会が行う以外に、大学や企業が有志を集めるものもある。アンケートに回答した学生が通う大学22校のうち、九つの大学で募集を行っていることがわかった。組織委員会の公式募集を逃してしまった人は、この機会を利用するのも手かもしれない。自分の大学で募集があるか、調べてみてはどうだろう。
また大会のボランティア活動期間中は授業や期末試験とぶつかる可能性も。このため何らかの対応を検討している大学もある。「期末テストが9月にずれる」(東京理科(2)女)、「期間中に授業を行わない分、入学式が早まったり土曜日に補講が入ったりする」(筑波(3)女)など、通常とは異なる日程も予想される。
これから本格的に始まるボランティア活動にどんなことを期待しているのか。「新たな人とのつながりが増えそう」(上智(2)女)、「有名な選手に会えるかも」(一橋(4)女)など、五輪の裏方仕事ならではの楽しみを持っている。
反対に心配に思うことはどうか。最も多く挙がったのが暑さ対策だ。選手以上に長時間となる活動を安全に行うためにも、体調を万全にして取り組める環境を整えてほしい。また「遠方から来る人の滞在中の宿泊施設はあるのか」(大妻女子(3)女)、「(朝が早いため前日の)終電出勤等が計画されているが、ボランティアを軽視しているように感じる」(千葉(2)男)など不安や待遇の改善を求める声も寄せられた。
オリンピック開幕まで残り1年を切った。選手や観客だけでなく、大会を裏方で支えるボランティアもおおいに楽しめる大会になってほしい。【学習院女子大・渡口茉弥】
■ことば:東京2020大会ボランティア
大きく九つの活動分野に分けられ、競技会場や選手村など大会関連施設で観客サービスや競技運営のサポートを行う。組織委員会の募集は昨年12月に終了。現在大学、企業等での募集が行われている。期間中延べ8万人のボランティアが活躍する予定。