読見しました。:新歓の時期に
今年も、熱気で満ちあふれる新歓の時期がやってきた。うるさすぎる集団が、慣れないスーツに着られたピカピカの新1年生に、サークル勧誘のビラの嵐を浴びせるのだ。
新歓シーズンで、忘れられない出来事がある。それは昨年の新歓のこと。私はアルバイトのためにスーツを着て、自分の所属するサークルのブースへ向かおうと、人の波へ突入していった。新入生だと思って声をかけてくる勧誘者を、華麗にかわしていたその時。「新入生?」「じゃないよ。目の輝きが違うもんね」
自分のそばで交わされた会話に、思わず立ち止まってしまった。そんなに疲れた、くすんだ瞳だったの? そう尋ねたかったが、人混みに押されもはやその言葉の主はわからなかった。
それから1年。私はさらに大学になじみ、期待に胸を膨らませた新入生からは程遠い「くたびれた」4年生になってしまった。しかし、その一方で思うのだ。この3年間でたくさんのことを知り、見てきたのだと。輝きは失ってしまったが、きっとあの頃には見えなかった景色が私の瞳には映っているはずだ。
私は現在、リクルートスーツを身にまとい街を歩いている。もうキャンパスで新歓ビラはもらえないだろうけれど、その代わりに別のものをもらうために、瞳に映った色を伝えている。【早稲田大・今給黎美沙、イラストは昭和女子大・小林千尋】