<読見(どくみ)しました>
幼稚園の入園式、隣に並んだ女の子から声をかけられた。「お友達になろう」。「うん!」。私たちはこうして友達になった。一緒にたくさん遊んだ。お互いに同意を得て友達になる。まるで条約のようだ。彼女は今、どこで何をしているだろう。私たちの「友達条約」は、まだ有効だろうか。
いつからか仲良くなるのに同意を取らなくなった。出会ったら、何となく友達なような、そうでないような。友達って何だろう。一緒に楽しい時間を過ごしたり、つらい時は頼ったり、必要不可欠な存在だと思ってきた。でも友達って誰だろう。あなたは知り合いなのか。友達なのか。今は誰とも「友達条約」を交わしていない。たまに孤独を感じるのは、このせいだろうか。
先日、電話越しに仲良しの子にこの話をしてみた。彼は考えすぎだよと笑っていたが、それでも真剣に悩む私に向かって、少しふざけながら「友達になろう」と言った。「うん」。深夜2時、私たちは「友達」になった。「友達条約」を結ぶのは実に20年ぶり。なんだかうれしくて、布団の中でひとり、笑みが消えなかった。
約束のない人間関係に悩み、こんな小さな口約束に心が救われた私は弱いだろうか。でもたまにはこうして始まる「友達」も悪くない。これから先もたくさんの人に出会うだろう。たまには言ってみよう、「友達になろう」。【立教大・宇野美咲、イラストも】

