すたこら 目の前の人を幸せに

すた・こら

大学3年生で就職活動真っ最中の私は、多くの企業の説明会に参加しては「自分はどんな生き方をしたいのか」と自問自答を繰り返している。他の優秀そうな同世代を見て、落ち込むこともある。しかし、「どこで働いていても、目の前の人を幸せにしたい」と思う。

 そう思うようになったきっかけがある。昨年、夏休みに宮城県気仙沼市のIT企業で1カ月間インターンをした。海岸沿いを散歩している時、ワカメ漁師の男性(77)に出会った。彼は若い頃、マグロ漁船の船長で、太平洋から大西洋まで、世界の海を広く旅したという。
東京から来たことや学んでいること、就活中であることを話し、「船長を務めてきた中でつらかったことは何ですか?」と尋ねた。彼は「途中で下りることができない閉鎖空間の中、すべての船員たちと仲良くやっていかなければならないことだ。すべての船員に大切な家族がいる。船長として、絶対に彼らを家族の元に無事に帰さないといけないという思いがあった」と教えてくれた。

 気仙沼は彼にとって、必ず戻ってくる場所、家族が待っている場所だ。定年退職をしてから、ワカメ漁師になった。地元の主婦を雇い、社会貢献したかったという。かっこいい人生だなと思った。
「たぶん死ぬまでこの漁港にいるから、また気仙沼に来たら会いに来て」。彼はそう言い、軽トラックで去った。どこにいても、どんな時も目の前の人を笑顔にしようとする彼のような社会人になりたいと思った。【明治大・佐藤梨夏】

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