8月、学生最後の夏休みを楽しむはずだった私は毎日暇を持て余していた。卒業をかけた期末試験の勉強に追われ、夏の予定を全く立てられなかったからだ。困り果てていたさなか、ネットで「片道航空券1万円」の表示が目に飛び込んできた。このラストチャンスを逃すわけにはいかない。3日後、私は一人で成田からソウルに飛んだ。初めての渡韓だ。
5日間の旅ではグルメを堪能し、アメリカで同じ高校に通った韓国人の友人に会いに行く予定を立てた。道中食べた料理では、参鶏湯(サムゲタン)の味が忘れられない。薬味が利いた鶏肉とスープの優しい味に心を奪われ、灼熱(しゃくねつ)の太陽の下、1時間並んだ疲れは吹き飛んでいった。
友人とはソウルで再会した。最後に会ったのは6年前。今はソウルの大学に通いながら、夏休みを使ってPR会社でバリバリとインターンをこなしているという。会社の近くで焼き肉をほおばりながら、お互いの家族のこと、大学生活の近況や、就職への期待と不安を語り合った。観光地とはまた違う、人々の生活拠点としてのソウルの表情を垣間見た気がした。
別れ際、「なんでもっと早く会いにきてくれなかったの!」とおとがめを受けた。確かに、親の仕事の関係で国内外、引っ越しが多かったこれまでを思い出してみると、長く会えていない友人が世界中にいる。またお金をためて、手土産を持って、おいしい物を探しがてら、遠くに住む友人たちに会いに行こう。帰りの飛行機の中、そう思ったひとときの韓国旅だった。【上智大・平野恵理】

