新型コロナウイルスの猛威が収まらない中、訪れた新年度。学生生活にはさまざまな制約がつきまとうが、そんな中でもキャンパる編集部には、未来ある学生記者3人が加わった。それぞれが「今、届けたい声」とは――。【まとめ、国学院大・原諒馬】
読む人の励ましになれば
テーマは自由で400字。こう言われた時、私は高校生の夏休みに書いた作文を思い出した。その作文は、文章を書いて何かを伝える仕事に就きたいと考える原点となった。
当時16歳の私は、自分のことが大嫌いだった。SNSで他人を身近に感じるが故に、人の視線ばかり気にし、自分を見失ってしまうこと。ありのままでいたいのに、周りの評価ばかり気にしてしまうこと。自分のもろさや醜さを、原稿用紙3枚に書き殴ったのを今でも覚えている。
だから、思いの丈をぶつけただけの粗削りな作文が学校代表に選出されたとき、悩みもがいている自分がなんとなく肯定された気がして、一瞬でも自分のことが好きになれた。
このキャンパるに入り、自分の考えを言葉に表現する環境に踏み込んだのは、あのときの経験を無駄にしたくないという気持ちがどこかにあったからだ。3年前は書くことで自分が救われたが、これからはもう一歩進み、読む人の励ましになるような文章が書けたらいいなと思う。【日本女子大2年・安藤沙羽】
自分の感覚を大切にする
「なんだ、こんなもんか」。最近こう思うことが多い。旅行でも、おいしいお酒でも。実物を味わう前にスマホで調べると、答えはすぐに分かってしまうからだ。
だから、日光の名湯を訪れても「写真と一緒だ」と感じ、初めてジョニーウォーカーを飲んでも「スモーキーだな」とネット受け売りの感想をつぶやく自分がいる。
多数派でいたい。そういう思いで、友人が勧める観光地に行ってみたり、はやりの本を読んでみたり、有名なお酒を飲んでみたりした。世間の定義に逆らいたくない。人と違う感想を言って、浮きたくないから、ついついネットで「日光の秘湯、評判」などと調べてしまう。
でも、ネット上の評判を先入観にしないようにしたいと思う。初めて抱いた感想や感激が失われてしまうからだ。感覚は経験を積むと、変わっていくのかもしれない。それでも初めての感覚は忘れられないし、素直な感想を秘密にしたくない。周りとのずれを気にせず、自分の感覚を大切にしていきたい。【埼玉大3年・佐藤道隆】
コロナのせいにしない
長引くコロナ禍の中、五輪・パラリンピックを目指すアスリートは、思うように練習ができなくても、ただできることだけを考え、ひたすら目標に向かって努力している。
しかし自分はどうだったろう。2020年のマイ・流行語大賞は「全部コロナのせい」。生活リズムが崩れ家でダラダラしてしまうのも、少し体重が増えてしまったのも、「全部コロナのせい」。私はコロナを言い訳に、努力するのを諦めていた。
しかし、カヌー競技の五輪銅メダリスト、羽根田卓也選手のSNSを見たとき、自分は、何かできたのに何もしなかったのだということにやっと気がついた。羽根田選手は五輪会場のコースが使えないなどの制約がある中、一般の人に交じって区の公園で練習していたという。
このままではだめだ。まずは自分の世界を広げることから始めることにした。バイトを始め、サークルにも積極的に参加している。これからはできないことを嘆くのではなく、できることを探していきたい。【東京女子大2年・津田萌子】