なにコレ!? その人らしく輝くよう 「答えに気づかせる」コーチング

なにコレ!?

 4月は新生活の始まり。将来について考える機会も増えるが、漠然とした不安を抱えている人も多いのではないだろうか。そんな悩みを解決する手段の一つに「コーチング」がある。コーチングの普及を目指す日本初の学生団体である「miusig(ミューシグ)」のメンバーに、コーチングの特色や魅力、団体の活動内容について尋ねた。

 コーチングとは、指南役のコーチが課題を抱える相談者と対話を重ねることによって、課題に対する答えを相談者に「与える」のではなく、「気づかせる」プロセスを指す。また、カウンセリングやティーチングと違い、上下関係に基づく指導や助言はしない。

 2020年10月に「ミューシグ」を設立し、代表を務める慶応大4年の鈴木梨里さん(21)は、新型コロナウイルスの感染急拡大で準備していた留学が中止になった時、コーチングと出合ったという。留学が自分にとって必要不可欠な経験だと考えていたため落胆していた鈴木さん。友達に勧められたコーチングを受けることによって、自分が固定観念からくる義務感や、不安感というマイナスの感情にとらわれて次の行動を決めていたことに気づかされたという。

 そして自分が何かをする際、何に魅力を感じ行動に移すのか。本来の自分がやりたいことを大事にできたときには「ワクワク」する感情がついてくることを知った。この感情について鈴木さんは「その人が最もその人らしく輝ける状態を作る感情」だと話す。自分自身が体験したこの感情を学生を中心により多くの人に体験してもらうため、趣旨に賛同した仲間5人と「ミューシグ」を設立した。

 メンバーは現在11人。その一人、同大4年の高橋佑輔さん(21)は、この手法の良さを「本人の主体性やその人らしさを大切にできること」だと語る。コーチは自らの主観や具体的な助言を伝えない代わり、「なぜそう考えるのか、もっと詳しく話してほしい」などと声をかける。相談者が自分自身の考えを言語化でき、自分で意思決定できるよう促すことがコーチングの目的なのだという。また、メンバーの同大4年、福井龍介さん(21)も「共通の答えがなくなった今の時代、自分の中から答えを導きだすことの価値は高まっており、この価値を多くの学生に広めたい」と話した。

 団体設立以来、100人を超す相談者にコーチングを行った。相談は現在オンラインのみ。また、原則無料だが、任意の寄付をお願いしている。1対1で相談者にコーチングするだけではなく、コーチの育成にも着手している。

 しかし、コーチングの知名度はまだ低い。高橋さんは「ワクワクにあふれる世界を作り出すために、ミューシグのようなコミュニティーを全国に作りたい」と今後の抱負を語る。自分の価値を認識して考えることの大切さをコーチングでは学べる気がした。【東京女子大・津田萌子】

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