なにコレ!? 「やさしい日本語」ラップに乗せて 目指すは多文化共生

なにコレ!?

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、国内に居住する外国人の住民から行政窓口などへの相談や問い合わせが増加傾向にある。こうした中、日本語に不慣れな外国人にも分かるよう配慮した「やさしい日本語」が注目を集めている。その認知度の一層の向上を目指し、「やさしい日本語」を題材にしたラップ曲「やさしい せかい」が今秋、制作された。曲作りに尽力した明治大学国際日本学部・山脇啓造教授のゼミの学生たちに「やさしい日本語」の魅力や普及の意義について尋ねた。

 日本で暮らす外国人が日常感じる「リアル」な気持ちを、軽快なリズムに乗せて歌う「やさしい せかい」。9月30日、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開された。広告代理店大手の電通が企画し、依頼を受けた山脇ゼミが、歌詞制作や動画出演に全面協力した。

 ゼミ生で同学部3年の日高悠希さん(21)は「最初は不安だったが、音楽をきっかけに多くの人に知ってもらえるという意味で、良い企画に携われた」と話す。歌詞制作のため日本語学校などに通う外国人留学生へのインタビューを行った。回答では「日本語の表現の難しさ」「日本人が作る壁」に対する意見が多く、それを「代弁」するような歌詞を考案したという。

 山脇ゼミに依頼があったのは、「やさしい日本語」の普及活動を軸に、出身国や文化が違う住民がともに平和に暮らせる社会である「多文化共生社会」の実現を目指す取り組みを積み重ねてきたからだ。学生を指導してきた山脇教授は「『聴いていて涙が出た』という反響はうれしかった。今後も若者の力で、さらにこの曲が広まることを期待している」と話した。

 「やさしい日本語」が考案された端緒は、1995年1月に起きた阪神大震災。熟語や簡略表現、擬音・擬態語が多い文章では必要な情報を受け取ることができない外国人住民がいたことから考案された。「土足厳禁」ではなく「靴(くつ)を ぬいで ください」のように「簡潔に」「どんな人にも分かりやすく」言い換えることが基本とされている。

 山脇ゼミでは2018年から、多文化共生を推進するため「やさしい日本語」を活用した住民交流イベントなどを実施してきた。20年からは、外国人住民と多く接する東京都内の自治体職員を対象とした「やさしい日本語」ワークショップへの講師派遣もゼミとして行っている。

 豊富な実践を背景に、山脇ゼミは10月、多文化共生社会実現のための効果的な取り組みについて都内の5大学が発表する、都主催の「ダイバーシティ・プレゼンコンテスト」で5連覇を果たした。提案したのは、外国人住民が地域社会の一員として居場所を見いだせるスペースを作ること。発表でリーダーを務めた同学部3年の松村有理恵さん(22)は「多文化共生を人ごとではなく自分のこととして考えてもらうために、活動を広げていきたい」と今後の抱負を語った。【津田塾大・市瀬結】

 ※「やさしい せかい」の動画はhttps://youtu.be/2fYxhoUwqAg

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