新人コラム 今、思うこと

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コロナ禍で、昨年春から原則的にオンラインで活動を続ける「キャンパる」。そんな制限下でも積極的に活動しているのは、今年入会した新メンバーたちだ。後期授業が始まるこの時期、新人記者3人に「今、思うこと」を聞いてみた。【まとめ、国学院大・原諒馬】

大学ツアーガイドやり抜く

 都心への進学に憧れていた高2の時、早稲田大学のキャンパスツアーに参加した。ツアーでは学生ガイドが大学の歴史や学生生活の様子などを紹介し、学内を案内してくれた。その堂々とした立ち振る舞いは社会人さながら。「あんなふうに振る舞えたら絶対かっこいい」。入学後、ツアーガイドを目指すことを決めた。

 ガイドを目指す学生は、マニュアルに書かれた説明内容を暗記する必要がある。先輩をお客さんに見立てた模擬ツアーを数回実施するなどの研修を受けて、合格すればガイドとして独り立ちできる。

 研修中、内容を覚えきれないまま説明に臨んだことがある。「お客さんの前で覚えてませんなんて言える?」。先輩は厳しい言葉をぶつけてきた。この言葉をきっかけに責任感を持ち直し、おかげで1年の冬に無事、正規ガイドに昇格した。

 コロナ下ではツアーの中止が相次いでいるが、私ももう3年生。先輩から学んだことや自分の経験を、しっかり後輩へ引き継ぎたい。そして再びツアーができる時が来たら、めいっぱいの笑顔でお客さんを迎えたい。【早稲田大・尾崎由佳】

コロナ理由に諦めない

 大学生活が始まって約半年。この夏は何かに挑戦しよう。まずスポーツを始めたいと思っていた。だが、夏休みに入ってすぐの新型コロナウイルスの感染再拡大で、その意欲をくじかれてしまった。

 課題提出を終えても、時間を有効に使えない。そんな時、テレビで見た東京五輪高飛び込みの玉井陸斗選手や卓球の張本智和選手ら若い選手の活躍に感動し、スポーツの魅力に改めて気づいた。

 これ以上、コロナを理由に諦めるのは嫌だった。「三日坊主になってもいい」。そんな思いで始めたのは、1日1時間の筋トレとランニング。初めこそ体が満足に動かなかったが、少しずつできることが増えた。続けることで体つきも変わり、今後も続けていこうと思うようになった。

 並行して、自炊にも挑戦し始めた。食生活の改善が目的だったが、始めて思わぬ発見もあった。母は毎晩仕事から帰って夕食を作ってくれていたが、それがいかに大変か。料理に挑戦せねば気づくことはなかったと思う。自粛のある中で見つけた楽しみたち。次は山登りにも挑戦してみたい。【駒沢大・根岸大晟】

「これが私」受け止める

 鏡を見ながら、今日はどの服を着ようかな、どんなヘアアレンジにしようかなと考える時間が好きだ。しかし、数年前まで私はこの時間が大嫌いだった。

 脱毛症に10年近く悩まされていた。好きでなったわけでもないのに、「ハゲ」と言われ笑われるつらさ。「どうして私が?」。いつしか道を歩くことすら怖いと感じるようになっていた。

 転機は2017年の夏。米国留学中、落ち込む私を見たホストマザーに「どうしたの?」と問われ、本心を打ち明けた。私を抱きしめて言った彼女の言葉が忘れられない。「始まりがあれば、必ず終わりが来る。だから、希望を捨てないで」。私は見た目にこだわり過ぎず、堂々とすることにした。すると自然に人の視線や鏡が怖くなくなり、脱毛症も私の一部なのだと納得できるようになっていた。

 毒のある言葉は、心に深い傷を残す。しかし心に響く言葉が、その傷を癒やすこともある。苦悩を怖がらずに受け止めた時に、「これが私」だと胸を張って言える自分に出会えると私は思う。【東洋英和女学院大・柳明里】

☆2021年9月28日 毎日新聞夕刊(とうきょう版) 掲載

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