就活最前線 コロナの影響は オンライン面接、地方恩恵 交流消え、学生の情報格差拡大

成蹊大が設置した個室。拡張ディスプレー、コンセント、スマートフォンホルダーが備え付けられている。換気扇が24時間稼働し感染防止対策も取られている=国学院大・原諒馬撮影


 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、大学生の就職活動に変化が訪れている。オンライン面接が主流になったことがその要因だ。従来の対面型の面接方式では、時間的にも金銭的にも首都圏の学生に比べて不利だった地方の学生の立場に影響はあったのか。キャンパる編集部は全国の来春就職予定の学生を対象に、コロナ下での就活状況についてアンケートを実施。併せて、地方と東京の大学の就職課に取材し、オンライン就活での変化を聞いた。【上智大・沖秀都】

 アンケートに答えた就活生(大学4年、大学院2年)は40人(回答者のカッコ表記は大学名・性別・志望業界の順)。回答で特徴的だったのは、オンライン面接の評価について、地方と首都圏で大きな差が出たことだ。

機会確保・交通費削減

 恩恵をより受けたのは、地方の学生のようだ。回答者14人の5割以上がコロナの影響で当初、首都圏にある会社での対面の説明会や面接を受けることをためらったと回答した。しかしその後、会場に学生を集める企業は激減。このため、「日程的に不可能だった会社でいくつも説明を聞く機会が確保できた」(愛知淑徳大・女・金融)、「遠方の企業にも積極的にエントリーすることができ、交通費を抑えられた」(北九州市立大・男・マスコミ)と、オンライン化を歓迎する声が多く聞かれた。

雰囲気わかりにくい

 ただ、オンライン面接だけで内定まで出す企業もあり、その姿勢には「社内の雰囲気が伝わりにくかった」(静岡大・女・不動産)との困惑の声も上がった。「その企業に行ったこともないのに内定まで進んで、決めきれなかった」(静岡大・男・IT系)というケースもあった。

 一方、オンライン面接を地方での就活の機会増加につなげようという首都圏の学生は少数派だった。オンライン面接が可能になったことにより、地方企業の説明会や面接を受けたかどうか尋ねたところ、「受けた」と答えた回答者は6人で、2割程度だった。

 オンライン面接そのものに対しても、「面接官の細かな態度や感情の変化を読み取りづらく、面接中にどう捉えられているか分からなかった」(筑波大・女・人材)などと否定的な意見が少なくなかった。「多くの企業が最終面接から対面に変わり、どの会社もいきなり対面で重役と話すことになった」(国学院大・男・マスコミ)という戸惑いの声もあった。

大学にネット環境

 就活のオンライン化によって変化を感じているのは、就活生だけではない。

 記者は地方と東京にある大学に、学生の就活事情の変化を聞いた。オンライン面接について、「就活生の選択肢が増えた」と歓迎するのは、東北学院大(仙台市)だ。同大ではコロナ禍の前から、上京して就活を行う学生が利用できる事務所を東京に設置している。今年3月には、オンライン面接用に学内に個室を4基設置した。就職キャリア支援部の鈴木勝博さん(44)は、企業の採用活動のオンライン化について「地元にいながら関東圏の説明会や面接などに参加できるため、都会の学生との格差が小さくなり、関東圏にチャレンジしたい学生にとってはよい傾向だ」と指摘する。

 また鈴木さんは、別の傾向として「地元志向がもともと強い企業や学生は、コロナの影響でその志向をさらに強めている面もある」と話した。東京と地方の間の長距離・長時間移動が難しい現在、企業も従来のような全国規模の転勤を前提とする採用ではなく、勤務地限定のエリア別採用に力を入れているそうだ。

 一方、学生の8割以上が首都圏出身だという成蹊大(東京都武蔵野市)も4月から、学内に個室を3基設置した。同大キャリア支援センター事務室の高野新平さん(55)は「昨年度は自宅にオンライン面接に適した環境を用意できない学生に、授業のオンライン化で空いた教室などを提供していたが、今年度から対面授業の再開により空き教室が少なくなっていた」と設置理由を説明した。利用を希望する学生は多く、4月中旬以降は3基全てが連日稼働しているそうだ。

地方への挑戦増えず

 ただ利用目的は、首都圏の企業が開く面接が中心。オンラインの利点を生かして地方企業へのUターン・Iターン就職に挑む学生はコロナ以前と変わらず、増加していないという。

 その一方で、両大学の担当者が口をそろえて懸念するのは、オンライン就活によって、就活生の情報格差が拡大している現状だ。「友人などとの情報交換の機会が減り、就活を順調に進められている学生と、そうでない学生の二極化が見受けられる」と指摘するのは、東北学院大の鈴木さん。また成蹊大の高野さんも「他人の就活状況を知る機会が減ったため、学生の間で就活の進捗(しんちょく)に大きな差が出ている」と語った。

 コロナ下で急速に浸透した就活のオンライン化。地方の学生にとっては、就活の不利さを是正する一つの突破口となったと言える。しかし、学生同士の交流が失われたことで、就活に対する学生の意識と取り組みに、新たな格差が生まれつつあるのも現状のようだ。

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