読見しました 挑戦はこれから

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 「ドローンを勉強して、いろいろな場面で人の役に立ちたい」。新年早々、家族の誰よりも「最先端テクノロジー」に疎い父が、そんな挑戦を始めた。通販サイトでは入力にもたつき、誤って同じ商品を二つ注文してしまうほどなのに、高度な操作技術が必要なドローンなんて使いこなせるのだろうか。機械音痴ぶりを知る娘としては、手放しで応援できないでいた。

 そんなある日、近所の図書館へと歩いていた週末の昼下がりのことだ。民家の前に、中年の男性が部屋着姿で立っていた。足元にはスケートボードがある。お子さんのものなのだろうか。足先で少し動かすだけで乗ろうとはしない。そのそばを通り過ぎて数十秒後。カラカラカラ――。音に振り返ると、男性が両手を大きく広げ、へっぴり腰で危なっかしく乗っていた。

 不意に、その姿が父と重なった。父もきっと、同じくらいがむしゃらだったのだ。できるのか不安になりながらも、やりたいという一心で動き出したのだろう。父は一念発起した後、教室に通い続けて実技試験に合格し、小型の実機まで購入した。今では目の前の男性と同じように、危なっかしくも楽しそうに操縦している。

 男性が乗ったスケートボードはゆっくり進んでいく。どんな挑戦でも年齢なんて関係ない。「応援しています」。その背中に向けて、心の中で呼びかけた。【筑波大・西美乃里、イラストも】

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