読見しました 動物づきあい

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 先日、ジョギングをしようと外に出たときのこと。1匹の黒い野良猫が、階段の踊り場から私のことをギョロッと見つめてきた。これは私にとってはよくあること。動物に好かれる「ニオイ」でもあるのか、あるいは幼少期から動物と遊んできたからか。どういうわけか、いろいろな動物に凝視されやすいタイプなのだ。

 散歩中の犬も、飛んでいるカラスも、一度目を合わせたらなかなか視線を外してくれない。決して嫌なことではなく、むしろ動物たちに興味を持ってもらえるなんてうれしいことだ。ほんの好奇心から、私の方からも意思疎通を試みてきた。「今日も元気そうだね」と伝えれば、彼らは元気そうに跳ね回る。あまり理解してもらえないが、個人的には動物たちと心を通わせられていると信じている。

 そう、あの黒猫とも「こんにちは」とやり取りをした。どっしりとした構えから推測するに、コイツは我が強いのだと思った。その途端、猫は「お前にこれはできないだろう」と言わんばかりに細い階段の手すりに勢いよく飛び移った。「すごい! そんなことができるんだ」と驚いたのもつかの間。脚を滑らせ数メートル落っこちた。

 どこも痛そうではないが、ばつが悪そうだ。そして逃げながら「こっちを見るな」と言わんばかりに何度も振り返った。私からは「またいつかゆっくりお話ししたいね」とだけ伝えた。【千葉大・谷口明香里、イラストも】

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