すたこら:「再発見した自分」

ここ数カ月は心の中で、何かむずむずと相反することがあった。普段の私を維持するためのエネルギー源が、おっかないウイルスの影響で枯渇したからだろう。慌ただしい生活がピタッと止まったこの状況下、どのように自分をコントロールすればよいか途方に暮れていた。

 しかしこんな窮屈な生活を強いられている中でも、うれしい気づきがあった。それは、私の中にいるもう一人の自分の存在。今までは、誰も寄せ付けないようなこだわりを持つ自分が好きだった。特に、脳内で決めたルールに従って満足するまでものを動かし続けるところ。この前は家にある大小さまざまなボトルを、手が動くままに正多角形に編隊を組んだ。ゾクゾクさせるような並び順を見つけたときの興奮は忘れられない。

 しかし、もう一人の自分には、往生際が良いところもあったのだ。我を貫いているのかと思いきや、諦めてどうでもいいと思ってしまうこともある。これはランニングをしている時に顕著だと分かった。肩とふくらはぎを意識して走るという、あるべき姿を持つ私。ところがもう一人の私は、身体を動かしてさえいればよいと思っている。同様のことは他にもある。自分は意外にも、対照的な性質を持ち合わせていることが分かってきた。

 現在のモラトリアムで分かったのはほんの一部。わが身に対する違和感はまだあるが、意外な一面が見えた今も自分のことは好き。まだ見えない謎を解き明かし続け、本当の私を見つけていくことになりそうだ。【千葉大・谷口明香里】

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