新人コラム:「騒がしくとも 今、思うこと」

新型コロナウイルスの感染拡大で世間は依然騒がしいが、それでも春は、やはり初心に戻り決意を新たに活動を始める季節。キャンパる編集部にも、新たな学生記者が加わった。新人記者たち4人に「今、思うこと」をつづってもらった。

大切にしている直感

 「思い立ったが吉日」「善は急げ」というが、まさに私の生き方である。これにはきっかけになった本がある。

 私は本を買うとき、本のジャケットと最初の2、3行を読んだ時のインスピレーションを大事にしていて、雷に打たれたように心に響くものを選ぶ。不思議なもので、こういうときの直感は外れない。

 高1の頃、探せど探せど気に入った本がないときがあった。この本で最後にしようと半ば諦めながら見た本がいま、一番好きな本だから不思議だ。それは原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」という。なかでも好きなセリフがある。自分が変わることがいいことか、主人公が親友に問いかけるシーン。親友は優しくほほえみ、「良い方に変わるなら、変わる方がいい」と答える。何事も保守的な道を選び、変わることを恐れていた自分に気付かされ、はっとした。

 そんな私もこの春大学生になり、自分の考えで決めるべきことが増えた。キャンパるに入ると決めたのも直感だ。大好きなセリフに後押しされ、良い方に変われる何かとの出会いを探しに、今日も街を歩く。【明治大1年・杉山靖子】

日常の変化 映像に

 小さい頃から日常を動画で記録することが好きだ。ビデオカメラやスマホ、一眼・小型カメラ。何でも使う。姉が携帯を見ている姿や、近所の公園を彩る満開の桜。気になったものは何でも撮影している。

 何気ない日常は、少しずつ変化していく。「あれ、君は誰だっけ」。中1の冬、祖父から言われた。初めは冗談だと思ったが、その後に認知症と診断される。次第に会話が困難になる祖父。そしてそれを撮り続ける自分。こんな姿を記録していいのか。数年後、祖父は息を引き取った。

 人の苦しむ姿を残すべきか。葛藤の末、自分の映像作品に採用。死去から3年が経過した昨年8月、作品を見た祖母からお礼の電話があった。「生きている姿が一生見られるのはうれしい」。死別した後、祖父が衰弱しているシーンを直視できなかった祖母が、喜んで見ている。時間とともに考えが変わったのだろう。

 今見ている光景は二度と訪れないかもしれない。でも、いつかまた思い出したくなる。これからもそんな毎日を記録して、誰かの宝物を作り続けたい。【国学院大3年・原諒馬】

何事も挑戦が第一歩

 大学生活も折り返し。就職活動を意識し自然と焦り始めるが、将来自分が何をしたいのか、これまで深く考えたことはない。小学生の頃は将来の夢がたくさんあった。ピアニスト、テニス選手、お花屋さん。ただ、どれも小学生に人気な職業を自分の夢のように思い浮かべただけで、夢を見つける努力はしてこなかった。

 だがこの春、興味があった学生キャスターに挑戦。ケーキ屋さんでシュークリームの食リポをした。意識したのは一口目の素直な感想を大切にすること。「濃厚なクリームの甘さが口いっぱいに広がり、病みつきになります!」。そんな私の反応を見て、「おいしそうで買ってきちゃった」と笑顔のスタッフさん。自分の言葉で喜んでもらえることはとても気持ちいい。自分なりの伝え方を試行錯誤し相手に届けることにやりがいを感じ、アナウンサーという仕事に就きたいと思い始めた。

 何事にも挑戦していくことが夢への第一歩だ。学生キャスターへの挑戦が、取り組む価値のあることだったと後から思えるよう、今日も発声練習から頑張ろうと意気込む。【学習院女子大3年・渋谷彩乃】

趣味見つける好機

 シティーガールを夢見て、方言を捨てて上京してから3年。「キャンパる」をはじめ、アルバイトやサークル活動など、めまぐるしい日々が続いた。4年生になり、忙しさから解放されたら旅行や趣味に没頭しようと計画していた学生は私だけではないだろう。

 ところが、新型コロナウイルスという未曽有の事態によって当たり前の日常が崩れ去った。講義の延期、渡航制限、緊急事態宣言……。そんな言葉が連日世間を騒がせる。旅行どころか実家への帰省でさえも自粛せざるを得ない状況に陥ってしまった。

 時間を持て余すとはまさにこのことだ。忙しい毎日を過ごしていた頃は、あれだけ自由な時間を欲していたのに。いざ時間を与えられると、逆に何をすればいいのかわからなくなってしまった。

 気がめいりそうになる状況だが、読書や音楽鑑賞など新たな趣味を見つけるにはうってつけだ。それにスマホを開けば、誰とでも連絡を取り合える。結局、大事なのは自分の気持ちなのだろう。何事も前向きに捉えることが、この危機を乗り越える力となりますように。【上智大4年・太田満菜】

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