読見しました:「のんびりとした日々」

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 朝5時に起きて、ほんのり明るくなり始めた冷たい空気を吸って散歩をする。朝食前に1時間英語の勉強をする。手当たり次第に本を読む。眠くなったら昼寝をする。たまにバイトに出かけたり、ふらっと近所に買い物に出たり。打ち込んでいた活動が一段落ついた昨年末から、そんな日々を過ごしている。

 こんなにゆったりとした生活は初めてかもしれない、と母とテレビを見ながら思う。小さい頃から何をするにも「頑張り屋さん」が代名詞だった私。だが、充実しつつも追われるように過ぎてきた日々から一転、立ち止まることに決めた。「こんなに自由な時間があるのは今だけ」という先輩の言葉が、ふと思い出された。心の赴くままに過ごす時間が心地いい。

 「最近何をしているの?」と聞かれると、「『何もしない』をしている」と答えるようになった。「何かを成している」というかっこいい言葉では表せないのんびりとした日々が新しい感情や美しいものを教えてくれる気がしている。

 生活の音が聞こえるようになった。自然の光が刻む時間を感じるようになった。不穏な昨今の状況に、心の豊かさまでは奪われないようにしたいな。なーんて、気取ったことを考えたりするのは朝の散歩中。【上智大・川畑響子、イラストは東洋大・荻野しずく】

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