読見しました。:冬、寒い日の怖い話

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 ある寒い夜のこと。友人の家に集まった私たちは、ぐだぐだと実のない話をひたすらする、という平和な一日を過ごしていた、はずだった。

 空気が変わったのは夜も深まり、ひとりが「怖い話でもしようよ」と言い出した時。やめようよ、せっかく楽しいんだしと話題が変わりそうになった途端、事件が起こった。突然、そこにいた人間ではない何者かによる、機械のような声がとどろいたのだ。私たちは驚きで誰も声を発することができなかった……。

 もしホラー映画ならばここで照明が点滅しだし、超常現象が発生するところだが、残念ながら声の主はすぐに特定された。それは、スマートフォンに搭載されている音声アシスタント機能。なぜか絶妙なタイミングで起動し、「怖い話」というワードに反応して話し始めたようだ。なんだ、とみんなで納得したのだった。

 しかし、スマホの持ち主はそれが起動した理由に心あたりがなかったのだという。もし絶妙なタイミングで反応したのが、ただのアクシデントではなかったとしたら……? 夜が、さらにしんと冷え込んだ気がする。【早稲田大・今給黎美沙、イラストも】

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