すたこら:「幸せって?」

 先日、ショッピングモールで豪華なひな人形を見かけた。女の子の健やかな成長と幸せを願うひな祭り。数年前までは、我が家でもおひな様が並んでいた。懐かしさを感じながら、ふと考えた。わたしの幸せってなんだろう、と。

 就職活動中の今、どの説明会でも聞かされるのは「女性が働きやすい職場」。産休、育児のための時差出勤。繰り返されるこの言葉たちに最近、へきえきしてしまう。制度自体を否定はしない。子育てをしながら働ける環境は、理想的だ。でもどこか、違和感を覚えてしまう。女性の幸せって、結局は結婚と出産なの? そう考えてしまうのは、過剰な妄想だろうか。

 かといって独身を貫きたいのかと聞かれると、これもわからない。結婚した自分も、独り身の自分も想像できない。これからのことなんてわかるはずもないのに、人生全てがかかった決断を迫られているようだ。仕事に就くとは、こういうことなのか。現実を突きつけられた気がした。

 進学や受験、たくさんの決断をしてきた。いろんな人に頼ったけれど、自分で決めてきたことだ。そしてまた、就職という岐路に立っている。悩み迷っているところに、自分ではない誰かに答えを出されたように感じていたのだ。

 わたしの幸せはなんだろう。それはきっと、わたし自身を誰かや何かに曲げられないことだ。自分勝手なわがままかもしれない。でも、自分なりに見つけられた答えは変えずに生きていたい。【学習院女子大・渡口茉弥】

PAGE TOP