すたこら:出会い

 大学生になって1年。さまざまな活動に参加し、「知り合い」の輪が広がる1年だったが、自信をもって「友達」と言える人はまだいない。人の顔色ばかりうかがう私。大学の知り合いといても、何を話せばいいのかわからない。こんなオチのないくだらない話、自分だったら聞きたくないなと思うと話が続けられない。

 高校の時は、夜に見たおかしな夢の話などのしようもない話をしても受け止めてくれる、深い間柄の人がいつの間にか隣にいたので、友達作りで悩んだこともなかった。

 「大学にはさまざまな人がいて、その中には必ず自分にあった人がいる」と聞いていたから、大学でも当然「友達」ができると楽しみにしていた。それなのにどうして。高校生の頃のきらきらした自分を想起すると、今の口数の少ない自分がくすんで見える。

 先日、世話になっている先輩にこのことを打ち明けてみた。「大学は高校より規模が大きい。時間はかかるけれど、いつか『友達』と思える人に出会える」。そうだったのか、今は高校とは違うステージにいるのか。私の気持ちは少し明るくなり、今は焦って無理に悩みこまなくていいんだと思えるようになった。

 4月から新学期。辛抱強く、人とのつながりを大事にしていけば、きっと高校の時みたいに知らず知らずのうちに知り合い以上の関係の人が見つかるはずだ。数年後でもいい、あたらしい友人と一緒にまた、たわいもない話で笑いあえたらいいな。【千葉大・谷口明香里】

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