読見しました。:似た者同士

撫でられながら寝ている黒い犬の絵

 我が家には2人「おばあさん」がいる。母方の祖母と、12歳になる飼い犬だ。捨て犬だったのを保護団体から引き取ったときは子犬だったが、あっという間に年を取った。

 家族が出払ってしまうと、祖母と飼い犬はふたりきり。おばあさん同士、留守番をしている。犬も昔ほど元気ではなくなった。どこまでも引っ張っていこうとした散歩も、今は家の周りをぐるっと回れば帰ってくる。

 祖母も遠出をする気力はないようで、遊びに行こうとする僕に小遣いを渡そうとしては、「ばあちゃんの代わりに遊んできな」とのこと。自分の楽しみに使いなよと言っても、いいから、と頑固。

 そういえば犬も最近言うことを聞かなくなった。名前を呼んでもなかなか来ない。年をとると頑固になるのは人も犬も同じなのだろうか。それとも単に耳が遠いせいか。

 墨汁のように黒々としていた犬の毛並みにも、だいぶ白い毛が交じるようになった。白髪になったねえ、と話しかける祖母に、そっちこそ、と言い返したげな犬の表情。

 ばあちゃんが死んでも何にもしなくていいからね。焼き場代だけ置いていくから。そういう祖母の足元で、犬が気持ちよさそうに寝ている。【東洋大・佐藤太一、イラストは同大・荻野しずく】

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