2019/05/21 写NOW

産業能率大の学生団体「セザンジュ」
街頭から天使の導き 自由が丘のコンシェルジュ

 住みたい街として知られる自由が丘(東京都目黒区)で、大型連休中の4月27日から5月6日まで、恒例の「自由が丘スイーツフェスタ」が開催された。毎年40万人以上が来訪する、自由が丘を代表するイベントのひとつだ。そんな大勢が行き交う街頭で、目をひく制服の「天使」たちが、来訪者を優しくガイドしている。地元の産業能率大学の学生たちで構成される団体「セザンジュ」だ。【東洋大・佐藤太一、写真は津田塾大・畠山恵利佳】


自由が丘を訪れた子どもに優しく語り掛ける、「天使」のセザンジュたち=東京都目黒区自由が丘の商店街で

 セザンジュは仏語で「彼女の天使たち」の意味。ベージュに統一された制服に身を包み、帽子には街の安全を象徴するマスコットキャラクター、「ハートふるん」のバッジが光る。可愛らしい制服と笑顔から、一見アイドルのようにも見える彼女たちだが、発足のきっかけは、2008年に東京・秋葉原で起こった無差別殺傷事件を受けて東京都が実施した「繁華街等における体感治安の改善事業」。そのモデル地区として自由が丘が選ばれ、自由が丘商店街振興組合と同大の協働によって発足した。毎週日曜日と祝日に自由が丘の街頭に立って地域安全の見守りや道案内などを行っている。

 発足してから今年で10年。現在は同大の男女約70人が活躍。徐々にその活動の幅を広げ、インスタグラムやブログでの発信などで街の魅力を伝えている。今では街の象徴として認知され、来訪者にも自然と声をかけられるようになった。広告

 知らない街を歩くときは、スマートフォンの画面に頼りきりになるのが当たり前になっている現代だが、街頭に立つセザンジュにはひっきりなしに問い合わせがある。「おすすめのカフェは?」「ランチをするなら?」といった質問にもスマートに答える。なかには「パン屋さんを全部教えて」というような問い合わせもあるとか。

 イベントも多く、店舗の入れ替わりも激しい自由が丘。情報を頭に入れるだけでも苦労しそうだが、広報を担当する秋本菜々子さん(経営学部3年)は、「毎週みんなで変化する街の情報を共有している。難しい問い合わせほど気持ちが入る。うまく対応できたときにいただく笑顔がやりがい」と話す。

 記者もおすすめの店を聞いてみた。丁寧に紹介してくれたカフェやレストランは、どこも雰囲気が良く、ゆったりとした空気感。思わず、何時間も長居してしまった。昔ながらの文化と、新しさが共存する自由が丘。スマホの画面越しでは伝わらない街の魅力を、笑顔越しに伝えてくれる。

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